歪み~負の連鎖〜[非戦闘小説]
「前書き」
※このブログの投稿者somasitaは現在中1で開成中学校進学予定{聖光.渋幕を始めとする併願校も全勝}です。勉強法なども暇な時に投稿していく予定なので気になる方は読んでくださると嬉しいです。
※この物語は完全にフィクションです。
※終盤、主人公の語彙がやや衰えております
が、主人公の思考力の衰えを表してます。
景雄。それは亜衣の従兄弟で、僕と違って容姿も良く文武両道、弱い人を助ける優しい心も持っていて、人付き合いも上手という「万能少年」だった景雄は瞬く間にクラスの人気者となってしまったのだ。照徒は内心で、「まるで漫画の主人公か」と皮肉めいた思いを抱いた。もちろん景雄が全員に好かれていたというわけではない。例えば、クラスの不良集団で昔は人気者であったが、今は景雄に人気を取られてクラスで一番の美少女でその大きな瞳と、陶器のように透き通った肌が特徴の、成績学年次席の優等生である、甲鉄の幼馴染で、密かに恋心を抱いている、美琴以外からは敬遠され始めている神成甲鉄達なんかは「正義の味方」気取りの景雄のことを敵視して弱みを握ろうと奮闘していた。
それに、景雄の考える「正義」と異なる考えを持つものはいたが、それは少数派で第一景雄はそのような者を味方に付けようとするような、人間では無かった。
しかし、それでも人気者の景雄がいじめられるとこなんてない。そんなはずだった。あの日までは…
景雄が転校してきてから、三週間が経った頃のことだ。正義感に満ち溢れている景雄が神成甲鉄に僕がいじめられている現場を目撃してしまったのだ。クラスメイトの冷酷な視線が照徒に向けられた瞬間、彼は背後に冷たい何かの気配を感じた。それはまるで、彼の絶望を楽しむ悪魔のようだった。照徒が一人で泣いているのを見つけた景雄は、静かに近づいて声をかけた。
「大丈夫。君は一人じゃないから。」
その言葉に、照徒は涙を拭い、初めて少しだけ笑顔を見せた。
そして彼は帰りのホームルームの際にこう言った。
「僕は今日、照徒君が甲鉄君にいじめられている所を目撃しました。それを見た僕はとても悲しい気持ちになりました。いじめはとても良くないことです。皆さんいじめについてもう一度考え直してください。」
その言葉を聞いた生徒達の大半の心には、景雄の熱意は伝わることは無かった。正確に言うと景雄の熱意が全く伝わらなかった訳ではない。景雄は人気者なこともあり、生徒達は景雄が言った通り、いじめに対して、考え直しはした。しかし、その結果生徒たちの出した答えは、
「よそ者の照徒を排除し、新たに景雄も排除の対象にする。」
というものであった。今まで景雄は人付き合いも上手で、生徒達とも上手く関わってきたので、生徒達は、景雄は「よそ者」ではなく、「仲間」としてとらえられていたが、今回のことを機として、景雄は仲間ではなく、自分達に合わせようとしない「よそ者」であると認識され、排除の対象となってしまったのだ。景雄は排除の対象となっても、今までの姿勢を貫き続けたので、景雄へのいじめは日に日に酷くて、露骨なものとなっていっていた。そして、それを止めることのできるはずの、亜衣は癌に侵され、衰弱していたので止めることは出来なかった。
僕は、かつての自分の支えが失われつつあることを自覚し、とても辛くなると共に、亜衣に心配をかけないようにしようと決心すると共に、一つの亜衣の言葉をふと、思い出した。
「照徒も成長したら、昔の自分みたいにいじめで困っている人を、助けるの…。それが私への一番の恩返しにもなるから…。」
しかし、その時の僕はその言葉をすぐに頭の外に追い出し、すっかり忘れてしまって居た。
僕には、ある日の夜に甲鉄という一人の少年が、家のベッドで孤独と罪悪感、そして景雄に人気を取られる恐怖から泣き叫んでいることを知る由も無かった。
その後、僕が排除されるのを恐れて、少しずつ、他の生徒達に合わせるようにしていったからか、僕は「よそ者」ではなくて、「仲間」であると認識されて、段々と僕は排除の対象から外されていった。
そして、あの日が来た。ある日、景雄が体育の着替えをしている時、神成甲鉄に見られてしまったのだ。まるでカマイタチのような見た目の火傷の痕を。カマイタチ、それはこのZ村の老若男女問わず、忌み嫌われている想像上の怪物である。その火傷の痕の話は瞬く間に、広がり景雄への排除は急激に激化した。しかも、今回からは生徒達だけでなく、大人達からも、避けられるようになってしまっていた。その頃には、完全に僕には排除の矛先は向けられなくなっていた。
